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日本の興行界を支えた映画「ハリー・ポッター」シリーズ なぜ売れたのか?

 映画に詳しい人たちと飲んでいると、「自分の生涯ベスト10」とか「好きな映画音楽」とかいろんな話をしてたまに喧嘩になるのですが、「なぜ2001年から映画館に人が戻ったのか」というのは楽しく歓談できるいいネタです。
 日本映画製作者連盟のデータを見ると分かるんですけれど、90年代って本当に映画館に人が来なかったんですよね。それが2001年になるとお客さんの数が回復し、それから2010年までの10年間は安定しているんです。
過去興行収入上位作品 一般社団法人日本映画製作者連盟
「テレビを中心としたメディア出資の映画が増えたことで、大宣伝が行われた。だから劇場にお客さんが戻ったんだ」なんてこと言う人もいます。もっともらしいのですが、飲んでいる場でそんな話をしてもつまらないわけです。
「シネコンがこの2001年になって全国的に浸透したから」という人もいました。確認していないのでよく分からないのですが、仮にそうだとしても、飲んでいる席では話に広がりがなくて飽きてしまいます。そして、「昔の映画館は見ながらタバコが吸えて良かったよねぇ」みたいな話に移ってしまいます。
 やっぱり、「映画館に人を呼びこむ作品があったからだ。その作品とはいったいなんだろう!」とワイワイガヤガヤするのが楽しいんです。色んな名前が挙がり、おのおの思い思いに語るのですが、2001年から2010年を俯瞰して、絶対に外せない2つの作品群があります。それが、スタジオジブリ作品と「ハリー・ポッター」シリーズです。


ジブリ作品とハリー・ポッター

 2001年7月に「千と千尋の神隠し」が公開されました。興行収入は空前絶後の304億円。2013年現在の邦画関係者が振り返ると、なんやねんあれ、というケタ違いの記録ですね。
 同じ2001年12月に公開され、興収が203億円の「ハリー・ポッターと賢者の石」(シリーズ1作目)。書籍が全世界的に売れ、日本でも社会現象になったのはみんなが知っていることでしたが、映画もこんなに当たりました。
 公開年で見てみると以下になります。

 2001年: 「千と千尋の神隠し」(304億円)
      「ハリー・ポッターと賢者の石」(203億円)
 2002年: 「猫の恩返しギブリーズ episodeII」(64.6億円)
      「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(173億円)
 2003年: ジブリ作品、ハリー・ポッターなし
 2004年: 「ハウルの動く城」(196億円)
      「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」(135億円)
 2005年: 「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(110億円)
 2006年: 「ゲド戦記」(76.5億円)
 2007年: 「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(94億円)
 2008年: 「崖の上のポニョ」(155億円)
 2009年: 「ハリー・ポッターと謎のプリンス」(80億円)
 2010年: 「借りぐらしのアリエッティ」(92.5億円)
      「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1」(68.6億円)

 その年の映画興収ランキングで見ると、いずれもTOP5には入るダントツの成績でした。もちろん、「踊る大捜査線」シリーズ、「世界の中心で、愛をさけぶ」、「パイレーツ・オブ・カビリアン」シリーズ、「海猿」シリーズなんかも酒の話になります。ただ、10年間、日本の映画興行界を支えたTOP2はジブリとハリーと言い切って、誰も文句はないでしょう。

 
 さて、誰もが一家言あるジブリ話は置いておいて、ハリー・ポッターは何故お客さんを呼ぶことができたのだろうか。と、酒を飲みながらワイワイしようとするのですが、この話を十分に語ったひとを見たことがありません。なにせ、ハリー・ポッター作品を実際に見に行っている人は、映画に詳しい人であればあるほど、少ないので。私自身も「ハリー・ポッター」シリーズは、映画館へ見に行きませんでした。
ハリー・ポッター」の映画作品としての力とは、いったいなんなんだろう。


f:id:comajojo:20130823020009j:plain:h150 (「金曜ロードSHOW!」サイトより。今晩ハリポタ放映ですね)


★なぜ「ハリー・ポッター」の映画は売れたのか

 飲みながら話すわけですから、めいめい勝手なことを言います。「魔法使いの学校という設定がお客さんの心をつかんだんだよ」「ちょうど日本でも学園モノがラノベとかでも流行ってたもんなー」「ハーマイオニーの役の子が可愛かったもん」。…という具合に、納得のいく話に落ち着いたことがありません。
 そんななか、今日読んだこの文章はとても面白く、心に迫るものでした。

マグル避け呪文がrobots.txtだったあの頃 ハリポタの魔法に堕とされて | POYO NET – ねとぽよ

 ねとぽよのウェブサイトに掲載された文章ですが、私はTwitterに流れてきたものを読みました。小学生のときにハリー・ポッターに出会って、ネット上の二次創作を通して作品にのめり込み、「ハリー・ポッター」作品とともに歩んできた方の文章です。書籍と映画と二次創作を華麗に横断する様が見事に描かれていて、すげぇすげぇと言いながら、読みました。日本のネットには、ハリーとともにこんな文化が育っていたことに驚きました。
 なぜ「ハリー・ポッター」の映画は売れたのか。もちろん、ネット上の二次創作をする人・読む人の数は、映画館へ来る数百万という規模のお客さんの数からすると、とても少ないです。しかし、「私はこうやってハリー・ポッターと付き合ってきた!」というこの文章を読むと、どんな映画関係者や批評家が語るよりも、説得力をもって、読み手に迫ります。そりゃぁ「ハリー・ポッター」の映画に人は来るなぁ、と思えてきます。
 今度誰かと「ハリー・ポッター」で飲むときは、まず、さよ なきどりさんの文章を読んでもらってからにします。最高の酒の肴です。